所用があって、鯖街道をドライブした。
花折り峠のトンネルと出ると雪国ならぬ雨の国!
晩秋の山々が雨に煙っていた!











フト西行の歌が心に蘇るような風景だった。


    心なき身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ


    寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ


                             新古今和歌集より











京都市内は日が差していたのにと少し悔やまれた。
雨に濡れながらの撮影となった。















山の紅葉を眺めていると、故郷が恋しく思い出された。
山と棚田だけの故郷だけど、それが無性に恋しくなる。
立原道造の詩を読むと私の故郷と同じように思える。



           のちのおもひに


     夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に

     水引草に風が立ち

     草ひばりのうたひやまない

     しづまりかへつた午さがりの林道を


                          詩集「萱草に寄す」より


















静かな晩秋の紅葉を眺めながら、故郷に帰ろうと思った!
故郷が私を呼んでるような気がしてきた。