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”時をかけた生への慈しみ” [本]

親しい学友でもある秋野さんから詩集が届いた。

詩集を出したという話を聞いた時「また、やらかしたな!」と

親しみを込めて祝福してたんだけど、届いた詩集を読んで感動した!

以前、詩集「夜が響く」から約5年、詩の世界が深まったように感じた。


今回の詩集「歳時記」は、最初の詩が「時計」から始まる。

 

 「止まった時計は

  色模様の小箱の中で眠っていた

  突然開かれて

  行き場のない年月を話し始める」


ほかに2,3引用してみる。

「星を見た日に」の中では


 「死を獲得した

  さあ、生の力

  生命の営みは

  あすの死を思うことは無い


  北から吹く風が

  うれしく冴えわたる

   (北国の友にとても言えぬ)


「夢」から


 「あれは暁方だった。

  夢を見ているということを知りながら夢の現実へ引き込まれていった。

  そのリアルさは際立っている。此の世界で絶対的なものが無いなかで、

  死というものだけは絶対の世界へ戻っていく。それは、思いがけずに

  生を受けたものと同次元のようなものなのだろう。

  生は、もし私でなければ別の私が生を育まれるだろう。」


「知らせ」から


  「無表情で温かく 時を知ってるストーブは歌った

  聞き逃したものにも

  丁寧に 見逃しの歌をうたう」


詩集の私の感想は

”時をかけた生への慈しみ”に満ちているように感じた。

それは読む者の心を彼女の世界へ運んでいくようだ。

で、

私は彼女にさらに言いたい

 「また、やらかしてほしいね。」と


最後に高島鯉水子さんの装丁も、私には、すごく印象的で

此の詩集によくマッチしていると感じました。



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裏表紙

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話は変わって

秋野氏と共通の学友である私の妻は、散歩道で私が見つけられなかった

四つ葉のクローバーを、簡単に見つけた。


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ところがそれに収まらず、五つ葉のクローバーまで見つけてどや顔です。


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五つ葉のクローバーを見るのも初めてです。

彼女は、大事に持ち帰り押し花にしています。

幸せの四つ葉のクローバーというのは、よく聞くけど

五つ葉のクローバーは、どうなんでしょうね。


散歩道には、いろんな花が道ばたに咲いています。

一つ一つ眺めて楽しんでいます。


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ナルコユリ


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バラ


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ヒルガオ


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ニワゼキショウ


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アジサイ


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ヒナキキョウソウ


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マユミ


気がつけば、街は夕暮れ時になってしまった。

夕焼け空を眺めながら、お家に帰る。


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いつもながら、夕暮れ時が私は好きだ。

多くの人がお家に向かって帰る時間!

我が家の灯火が待っている。

うるさいカラスも静かになるのが、夕暮れ時だ。

それでは、私も此のブログから帰ります。


ご訪問ありがとうございます。







 


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カキナーレ!と桜 [本]

日々風景が変わるような激動(?)の桜の時期が終わろうとしています。

待ちになった生き生きとして季節の到来ですね。

今年の桜のを心にとめて、新緑の風景の中へ出かけたいものです。


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先日友人数人と公園で楽しい歓談をしました。

その折に素っ気なくいただいた冊子の一つに

「カキナーレ通信 NO25」というのがありました。


著者は、深谷純一氏。

彼は、作文教育の一環として文学作品の「読み」から「書く」ことにつなげて行く作文教育を

すすめて来られた。

その作品の紹介も掲載されていて、大変面白かった。


彼は、作文教育の中で、なかなか上達しない子の共通点として

自己評価が低い傾向にあるという。

文章表現力が、自己評価と深く関連しているというのは、新しい発見ではないかと思う。

この号には、中学二年生の作品が掲載されていた。


作文の条件は次の2点。

まず、作文は、本名ではなくペンネームで書く。

クラスの誰が書いたのかわからないことが、自由にかける基本となるという。

2つ目には、あまり具体的な題は、与えず漠然とした題で自由に書かせるというもの。


その中からお気に入りを一つ紹介します。


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なかなかの作品だと思う(笑)

で、面白そうななので、つい彼の編集した本「カキナーレ 若者の本音ノートを読む」を買ってしまった。


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内容は


『「書き慣れ」が、舌がもつれて「カキナーレ」。

京都の女子高校の教員時代に国語の作文教育の一環として始めた、

なんでも、書きたい時に、好きに書いて良い「カキナーレ」ノート。

発表はペンネーム、ウソもOK。ノートに溢れる本音の数々。

高校退職後は、大学の非常勤講師として、今度は学生たちに書いてもらった。

そんな本音ノートに、自身のコメントを付して紹介。

毎日新聞京都版の146 回にわたる連載から、精選して再編集。』


と紹介されている。


楽しみながら読んでいきたい。

これをくれた友人にも感謝です。


ということで、今年最後の桜を楽しみましょう。


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富士枝垂れ桜

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いかがでしたか?

行く春の桜を心に納めておきましょう。

来年、同じ桜を見れないかもしれないから。


●余談

webで、面白いものを見つけたので、面白半分に友人(男性)に送った。

後日あったときに、どうだったと聞いたら

「う~ん、意味がわからない。」という返事だった。

私もがっかりして、何も言わなかった。


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      (ネットから借用)





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読書の秋「親と子」 [本]

10月も中旬なって、やっと涼しくなるようですね。

気温の変化が激しい季節です。

先日、コロナワクチンの4回目接種券が郵送されてきました。

最初はワクチンの接種を躊躇していたので、遅れをとっています。


さて、先日友人に勧められた本をやっと読む気になって読みました。

永六輔氏の「親と子」というタイトルの本(岩波新書)です。

親子の関係を書いていて、気軽に読める本だった。

彼に言わせると昔は親子の関係はタテだったけど、今はそれが壊れて

なんだかヨコになっているのではという。

表現が言い得て妙です。


『子どもの世話にならないとか、嫁の世話になりたくないとか、

これは、絶対に口にしてはいけません。

ー世話になるときに、とりかえしがつかなくなる言葉です』


『教師として、教育の崩壊なんて言われたくありません。

家庭が崩壊して、それから教室、その次が教育でしょう。

夫婦・親子が崩壊しているのを何とかしてください。』


『教室内で、子どもが落ち着きがない。

この事情を説明しようと、PTAを開きましたら、

教室に集まったPTAは、もっと落ち着きがないんです。』


永六輔、さだまさし、淀川長治、和田誠の各氏の誕生日が

4月10日だそうです。そこで誕生会をしようと淀川さんを食事に

招待したら断られた。その理由が

『わたしは母と一緒に過ごします。

誕生日というのは、自分が祝ったり祝われたりする日ではありません。

お母さんに感謝する日です。

母と食事をするなり、いなければお墓に行くなり、母を考えて過ごす日です。』


この言葉には感動しました!


『介護保険だと、「要支援』と「要介護度」が五段階になっていますが、これを「孝行」を

中心に七段階にして考え直しましょう。

1 孝行な子どもがいて、元気

2 ひとり暮らしで、元気

3 ひとり暮らしで、病気

4 子どもが不幸で、元気

5 子どもが不幸で、病気

6 嫁と戦って、元気

7 嫁に負けて、病気』


なんだか笑えてきます。


『朝日新聞の記事でしたが、子どもに、「親の言われる言葉で、一番嫌いな言葉を

三つあげなさい」というアンケートとったんですね。同時に、お母さんたちを集めて、

「子どもが言う三つはなんだと思いますか?」と聞いたんです。』

その結果母親あげた三つは、

「静かにしなさい」

「勉強しなさい」

「お手伝いしなさい」

それに対して子どもが上げた三つは

「どうせ、あんたはそんな子よ」

「あんたなんか、うちの子じゃない」

「あの子と付き合うのはやめて」

これは、子どもをとても傷つける。なにか指示されることより、自分に対する

親の評価の方が子どもにとって大事なんですね。


子どもの視点は、大人が思いもよらないものが良くありますよね。

この本から引用します。


『ところでぼくは、ラジオで「全国子ども電話相談室』というのを長いあいだやっています。

・・・・・・・・・・・・・

「うちにそばにコンビニエンスストアができたの」

「ああ、よかったね。で、どんな質問?」

「二四時間やってるの、三六五日お休みないの」

「ああ、そう。それで、なんか質問があるって?」

三六五日休まないで二四時間営業なのに、シャッターがついてるのは、どうしてですか?」

・・・・・・・・

「あのね、動物園に行ってきたの」

「動物園で何をみたの」

「シマウマを見てきたの」

「ああ、そう。シマウマが好きなんだ。で、質問は?」

「シマウマの縞は白地に黒の縞ですか、黒地に白の縞ですか」

・・・・・・・・・・・・・・・

「ヘビはどこからが尻尾ですか」というのがあって、みんなで「どうしよう、どうしよう」(笑)

「ヘビだってものを食べるだろう、食べたら出すところがあるはずだから、その出るところから

後ろが尻尾なんだ」(笑)』


番組で「大人になったら何になるか」と聞いた。

ところが、その四十何番目かに「天皇陛下」といのがあった。

で、その子に電話して聞くと、天皇陛下になるにはどうしたら良いかと

とことん聞いてくるので、それは無理だと説明するが納得しない

そこで

『どうしてそんなに天皇になりたいの?』と聞くと応えがふるってる。

『だって、楽そうだもの』

大人が子どもに振り回される事態が続出のようです。

ちょっと長くなったので、ここでこの話は終わります。


写真は散歩道で出会った風景です。


ネコジャラシ

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キバナセンニチコウ

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飛行機雲

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露草

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ザクロの花

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落ち葉の小径

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散歩道

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芙蓉

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ピラカンサ

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お地蔵さん

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夕暮れ時 お家に帰ろう!

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夕暮れ時は、なぜかほっこりするような気分になり、我が家が恋しくなります。


以下は、大学時代の親友が頑張っている取り組みのおしらせです。

もし、機会があれば、京都会場へのご参加をお願いします。


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では、またお会いしましょう!










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源氏物語! [本]

はじめに本の紹介です。

世界的にも有名な我が国の誇る「源氏物語」は、沢山の本が出版されています。

勿論、漫画の源氏物語もあり、初心者には読みやすくなっています。


海外では、20カ国語以上の翻訳がでています。

英語版の本も沢山出版されていますが、

今回新たに英語版漫画の源氏物語が、

2022年5月31日にTUTTLEという出版社から

「Lady Murasaki's Tale of Genji」The Manga Editionが出版されました。

これで、日本の文学源氏物語が海外のいっそ多くの人に親しまれることになるのではと

我ながら喜んでいます。


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アマゾンでペーパーバックとKindle版 (電子書籍)で購入できます。

興味のある方は、どうぞ!


さて、源氏物語にも、いろんな花が登場します。

例えば、あかね、朝顔、あやめ、卯の花、梅、菊、桐、葛、くちなし、桜、さゆり、

橘、月草、椿、なでしこ、萩、藤、藤袴、ほほづき、山吹、夕顔、われもこう、

荻、女郎花、芙蓉、忍草、桔梗、若菜、蓬、宿木、梨、つげ、さき草、等々

花の名前を聞いただけで、源氏物語の場面が浮かんでくる方もあると思います。


が、ここでは、現在の私達の時代の花(笑)です。



テッセン(キンポウゲ科)

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ゲラニュウム サングイネウス(フクロウ科)

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ヂィアンツズ プルマリウス(ナデシコ科)

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ムラサキセンダイハギ(マメ科)

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ムラサキツユクサ(ツユクサ科)

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タイリンウツボグサ(シソ科)

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シオン(キク科)

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デイアンツス カルツシアノルム(ナデシコ科)

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オランダカイウ ホワイトジャイアント(サトイモ科)

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イリスギガンティカエルレア(アヤメ科)

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チユウキンレン(バショウ科)地湧金連

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ハマナス(バラ科)

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なんか柄にもなく源氏物語など口にしましたが、あしからず。

たまには、自国の古典文学に親しむのも、精神生活に活気を与えて、くれるのではないでしょうか?


散歩中、信号待ちのご婦人から声をかけられました。

ご近所の方ですが、銀行で宝くじを買いに行くんですが、一緒にどうですかだって!

急に生々しい現実に直面した!


ではでは!







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「同志少女よ、敵を撃て」について [本]

友人が熱を込めてすすめる「同志少女よ、敵を撃て」という本を買って読んだ!

確かに面白いし、考えさせられる。

約500ページの長編がなぜか短く感じるくらいだった!

ソ連の狙撃兵の作品を日本の作家が書いたという点でも興味深い本だった。


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以下は友人の推薦のことば!


日本の作家が独ソ戦を真っ正面から取り上げた長編小説。
ソビエト時代のロシア人の世界をよくここまで調べ上げたものだ。
多数の資料に当たっている。
文章は練れていて戦争描写は精密で、戦車戦、狙撃兵の息詰まる活動など臨場感に溢れ、
また、スターリン体制下、複雑なソビエト社会の実情にも分け入り、
うら若い少女たちの心理描写もしっかりしている。
文句なしに面白く、息もつがずに読ませてくれる。
第二次世界大戦はもちろん、人類史上最大規模と言われる独ソ戦。
1941年6月、ソビエト西部国境全線に亘ってドイツ軍機甲化部隊と空軍がなだれ込み、
独ソ不可侵条約に油断していたソビエト軍をなぎ倒しながらあっという間にモスクワ、
レニングラードに迫った。
モスクワはかろうじて防衛されたが、第二の大都市レニングラード(現サンクトペテルブルグ)は以来、
900日間の包囲戦に耐え、100万人の戦死者(ほとんど餓死者)を出したとされる。
(ショスタコーヴィッチは包囲下のレニングラードで第7シンフォニの作曲に着手し、「レニングラード交響曲」として戦うレニングラード市民に献げた。
マイクロフィルム化されたその楽譜は密かに国外に持ち出され、アメリカでトスカニーニ指揮で初演、
全世界に放送された。
包囲下のレニングラードでの初演にまつわる逸話も感動的!
この有名な曲のメロディが武田薬品のテレビコマーシャルに使われていたことがある。)
1942年末、
南部の工業都市スターリングラード(現ヴォルガグラード)に突入したドイツ軍と
ソビエト軍との間では、空爆と戦車の砲撃で廃墟と化した市街で
文字通り一寸の土地を争う市街戦が戦われたが、
1943年冬のソビエト軍の反抗で30万人のドイツ軍が包囲されて降伏し、
独ソ戦の帰趨は決まった。ドイツ軍の敗退が始まり、ベルリン陥落に至る。
スターリングラード戦を舞台に狙撃兵の少女たち(誰もがドイツ軍に肉親を皆殺しされた不幸を背負っている)の活動が本書のテーマである。
独ソ戦争は「絶滅戦争」だった。
ユダヤ人とロシア人は劣等人種であり、地上から抹殺する、
何をしてもかまわないというナチの方針下で行われたドイツ軍の市民への蛮行の数々、
復讐心に燃えたソビエト軍の報復(それはドイツ領土に攻め込むや一般市民にも向けられた)、
報復心を煽る作家イリヤ・エレンブルグ(この作家の意外な側面を知る)。
第二次大戦でのソビエト側の戦死者2700万―3000万人。
ドイツ軍900万人。
まさに史上空前の絶滅戦争だった。
ちなみに日本人の戦死者310万人(軍属230万人 市民80万人)。
物語は後半、ドイツの古都(要塞都市)ケーニヒスベルクに移り、意外な展開を見せる。
800m先の敵兵の頭をスコープ付きの銃で狙撃する少女狙撃兵たちの物語りだが、
少女たちの正義感と友情が作品全体を温かいものにしている。
なお、昨年ベストセラーになっていた「独ソ戦―絶滅戦争の惨禍」(大木毅 岩波新書)は
この戦争の実態をリアルに描き出していて読み応えがある。
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この「独ソ戦-絶滅戦争の惨禍」を読んで、「同志少女よ、敵を撃て」を読むと
作品の理解が深まると思います。
みなさまにも超お勧めの一冊です。
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      (カフェで会った仲がよくて、お行儀も良いシベリアンハスキー犬)

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夜が響く [本]

ここ数日の暖かさは、3月としては尋常ではない。
歩いていると汗ばんでくる。


この暖かさに驚いたのか、庭では、
ボケの花がびっくりしたように一輪咲いた。


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梅の花やクリスマスローズも頑張って咲き続け、


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シロバナジンチョウゲが香りを振りまいている。


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私も陽気に誘われて、哲学の道に散歩に出かけた。
桜のつぼみが大きく膨らんでいる。
来週あたり開花するのではと思う。


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道ばたに於かれた椅子が鎖でつながれている。
こうしなければ、持っていかれるのだろうか?
少し切ない風景である。


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先日、大学時代の友人秋野氏から詩集「夜が響く」が届いた。


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彼女の手にかかると小さな生き物が大きな存在となって
読者に迫ってくるから不思議である。
ふと「虫めずる姫君」という言葉が頭に浮かんだ。


が、私に深い印象を残したのは
「きっと、それは話せないのだ」という詩である。
戦争から帰ってきた父親のことを歌っているのであるが
戦地の話をしない父親が70歳をかなりすぎてから
「戦争は人殺しとレイプなのだ」と怒りをはき出したという。


私の父親も招集された。
通信兵だったとかで、モールス信号には詳しかった。
行軍中は、他の兵士と同じ装備の上に通信機を担いで行かなければならず
大変苦労をしたらしいが、戦闘が始まれば司令官の傍で安全だったという。
それで父は生きて帰れたのかも知れない。


しかし、私の父もそのほかの軍隊の話や戦場の有り様は一切口にしなかった。
私の父もきっとそれは話せなかったのだと思う。


が、たまに父が呆然とした様子で椅子に座っている姿を目にした事がある。
その時、父の指だけがテーブルを叩き、モールス信号を打っていたのを覚えている。


戦争にかり出されると言うことは、
家族にも話せないものを抱え込まされるのであろう。
確かに戦争とは、人殺し以外の何もでもないのだ。


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太初(はじめ)に神話があった [本]

父の書斎で、発見した本を自分の部屋で心を振るわせて読んだ記憶は、未だに消えない。
この本は、昭和27年9月に発行されたもので、
父が買った日は昭和28年6月25日と書かれている。
僕が、この本を手にしたのは、中学二年生の春である。

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以来、表紙の絵と共に、ヘッセの『郷愁』は私の心の故郷のようになった。
これまで何十回読み返したかわからない。
当時、僕は初恋を経験し、人を愛すことの素晴らしさを知ったけど
それだけにその終わりほど寂しいものはなかった。

というのも、中学に入学した初夏のある日、中学三年生の女子に声をかけられた。
それが初恋の始まりだった。
そして、翌年彼女は、卒業し、僕は取り残された!
輝いて見えた中学校の校舎が、彼女と共に消えて、沈黙した。

そんな心境の時に出会った事もあったのか、以来、この作品と絵は生涯の友となった。

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そう、僕の神話もここから始まったのだ!
そして半世紀以上の時が流れたが、今も生きている。
僕の中に生きている。
第1章に書かれた風景は、僕の心の風景となったのだ。